fuji

フジロックフェスティバル11に行って参りました。


http://www.fujirockfestival.com/
思えば、天神平での最初のフジの開催当時、大嵐に見舞われたちょうど同じ年、かつての日本ランドで開催されたレインボー2000で、台風の中をヤケになって馬鹿踊りした経験を思い出させるほど、今年は過酷な天候となりました。
越後湯沢駅ではやや小降りだった雨は、シャトルバスを降りた途端、まさにバケツをひっくり返したような豪雨となり、駐車場はすでに水溜りと泥土で最悪の状況でした。その中を、カラフルなレインウェアとブーツ姿のフジロッカーたちが、黙々と泥ハネをあげながら進んで行きます。
もう、一生分のゴア合羽を見たような気がします。脳内では、マッシブアタックのサイケの可愛いゴーストの乱れ飛ぶ映像がエンドレスで再生されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=GpvZSZwrKlo
蒸し暑いレインポンチョと野鳥の長靴で、目を開けていられないほどの吹き降りの中、一歩進むごとに足首までグチャグチャの泥に埋まりながら、遅々として進まないリストバンドの列に並んでいると、虚しさでやりきれなくなりました。
一体何のためにこんな苦労をしてるって?それはもちろん、シスターズ・オブ・マーシーを見るためですよ。それ以外には全く興味も持たず、特に予習もせず、雨の中を、夜までどうやって時間をつぶそうかと途方に暮れました。
とりあえず飯にしようかと向かったワールドレストランは、足首までズルズルと嵌る田植えのような泥沼で、ヤワなブーツでは思いっきり潜ってしまい、悲鳴をあげて逃げ出しました。
雨宿りに逃げ込んだマーキーで、思いのほか可愛いアーティストに感心しました。後で確かめたら、Belakissってすごい二世スターだったのね。それとは関係なく、曲もパフォーマンスもとてもチャーミングでした。
http://www.myspace.com/belakissband
少し小降りになり、とぼとぼと時間を潰しに歩き出した途端、ざっこざっこと思いっきり降られて、ホワイトの木陰に逃げ込むと、日本のアーティストのしみじみしたラブソングに、なんとも居心地の悪さを感じ、即刻逃げ出しました。ごめんなさい、こういうの全力でダメなんです!こっぱずかしくてダメなんです!「恋ーに落ちるーはずー」とかダメなんです!
駆け出して、うっかり迷い込んだところ天国の坂で、ずーいと滑って危うく転びそうになりました。全く、この苗場には平らな地面というものは存在しないのか!ここで泥まみれになると、ロラパルーザのトレント様状態になって悲惨なので、再びマーキーに逃げ戻りました。
辿り着いた大屋根の下は、豚丼と串カツとハイネケンを抱えた多数の難民で埋め尽くされていました。少なくとも後方10メートルほどは、ぐったりと椅子に倒れこんだ多くの人々が、轟音の中で安らかに眠っていました。サマソニではソニックでこういう死屍累々の光景をよく目撃しますが、いかに屋根があるとは言え、泥沼の地面では倒れるわけには行きません。
マーキーでは、さすがにイキの良い、元気の出る演奏が聴けました。なかでもディアフーフのグダグダなMCと、突き抜けた元気なパフォーマンスはとても好感を持てました。「ボクニホンゴダメー」って可愛いぞ。
http://www.myspace.com/deerhoof
その一つ前のアーティスト、謎のニット帽軍団のGRUFF RHYSも聞いていてとても気持ちよい演奏でした。なんというか、正統派のPitchfork系っぽい?
http://www.myspace.com/gruffrhys24hrs
そして、逃げ出そうにもこの豪雨の中、仕方なく椅子に座り直す人々をかき分けて、後方から多くの男性ファンがなだれ込んで来ました。明らかにそれまでのノリと違う、体育会系の半裸の男性ファンの怒号が響き渡ります。えっ何?The Birthdayですって?
「オラオラオラー!」アーティストの煽りに歓声とモッシュで応えるファンの熱狂で、前方はグラストンベリーのような泥試合になった模様です。いや、正確にはその残骸を見ただけで判断すると。シャツやペットボトル、バッグや靴が泥の中に散乱し、見るも無残な状態でした。
満員のファンが去って行くと、立ち込めていた水蒸気と熱気が嘘のように引き、会場に残ったのは数十人だけとなりました。ど、どうしたの?この、どこかの伝説のネタフェスのような不吉な雰囲気は。客いねー!
そしてステージでは黒シャツの軍団が黙々と照明や機材をセッティングし始めました。怪僧ラスプーチンみたいなヒゲの恰幅のよい男性が、2台のマックで何やらごにょごにょ作業しています。
スココーンとかパシーンとかいう、おなじみのラップ音のようなサンプリングと、レトロなキーボードっぽいサンプリングを延々とテストし、モノクロのライトで天井をグルグルさせ、パープルやイエローの何がしたいのかよくわからない単色のライトを点滅させ、バカでかい扇風機を運び込んだとき、嫌な予感がよぎりました。
ぐおーと風を起こし、スモークマシンから焦げ臭いニオイがしてくるまでフル稼働させ、ステージはすでにブロッケンの妖怪が出現しそうなほどモヤっていました。やめてくれよー、富士急ハイランドのお化け屋敷じゃないんだからさあ。
しかし、やたらとポップなSEを流しながら、淡々とスタッフは仕事を続けます。「ボーーー」という低音でひたすらマイクテストしていた、あれは何の意味があったのかしら。
開演が近づくと、前方には屈強な外人セキュリティや、よくお見かけするプロの写真家の方や、多くのプレス関係者でざわめいていました。振り返ると、客もそこそこ入ってきました。良かったー。
そして、いよいよ、伝説の御大、シスターズ・オブ・マーシーが現れました。
http://www.myspace.com/thesistersofmercyunofficial/
長い巻き毛のギタリストと、もみ上げに革ジャンのべーシストを左右に従え、スキンヘッズに黒いサングラス、ジャージのトラックスーツの上下に腰にタオル?という謎の出で立ちで、ついにアンドリュー・エルドリッチその人が現れました。管理人の感想はただ一つ、「・・・ジュネさん?」
いや、ジュネさんじゃなかった。その証拠に、衣装にゴスらしさのかけらも無いにも関わらず、そのカリスマと恐怖政治っぷりは、一時のマンソンどころの話じゃありませんでした。
べーシストがマイクにコーラスしていると、背後から首根っこをグイと引っつかんでどかしたり、咆哮しすぎてほとんど歌詞がわからなかったり、ただの一言もMCしなかったり、客のノリや反応を全く気にしていないかのような、くわえタバコの「わが道を行く」パフォーマンスは、もう見事の一言に尽きました。
ただ、モニタに近づきすぎた私も悪かったんだけど、音がダンゴになっていて、肝心のエルドリッチの声が全く判別できませんでした。せっかくマックがあるんだから、あと一人分キーボードのラインを入れるだけでずいぶん違うと思うんだけどなあ。それに、コーラスもオリジナルの女性ボーカルじゃなくて、野太い男声だし(仕方ないか)。
最初は何の曲かわからなくて、サビになって漸く「ああ、あれ!」と判る曲が多かったように思います。私が無知なせいかも知れませんが。
NINでは、いかに悪条件な会場であっても常にCDクオリティの再現性を体験しているだけに、今回のサウンドには非常に残念に思いました。
また、何もそこまでやらなくてもという濃霧の演出も、APCのステージでテントを張ってその中で歌うメイナードさんと同様のジレンマを感じました。カリスマの神秘性を狙うにも程があります。パタリロの台詞じゃないけど、「手をのばして指の先が見えない」状況はやりすぎでしょう。
また、最初の2曲に殺到したカメラマンたちも、3曲目以降では追い払われました。このへんもメイナードさんと同じだよね。きっとカリスマとスキンヘッズ同士で気が合うんじゃないかしら。そういう問題じゃないか。
とりあえず、曲が判った歌詞だけ合唱して、キャーキャー歓声を挙げて楽しく拝見しました。そもそもこういう種類の音楽って、どう鑑賞するのが正しいのかよく判りませんが。
そして最後に客席に深々と一礼し、伝説は再び霧の中に去って行きましたとさ。
ウォーク・アウェイやった?やってないんじゃない?もしかして?えっ?ロシアは?えっ?
もう二度と来ないような予感もしますが、とりあえず、良い物を見せていただきました。ありがとう、エルドリッチ。ありがとう、生きる伝説よ。
シスターズはこちらです。
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ギタープレイがなんというかメタルでした。ある意味、アルフィー並みの節操のない外観だったかも。そのメタルなソロはないんじゃないかなあ・・・。アンドリューが一時退席し、ギターとベースが見事なくらいに全く息の合っていない(とにかくすごかった)間奏を始めたときのいたたまれなさったら。
あえてリンクしないけど、これ何よ?
http://www.thesistersofmercy.com/error404page.html



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