christopher owens

クリストファー・オウエンスの来日公演に行って参りました。


時ならぬ冷たい雨の降りしきる中、代官山のUnitは、期待に満ちたファンの熱気に包まれていました。ステージに飾られた大輪のカサブランカの花束から、湿った空気に、馥郁たる妖しい香りが漂っていました。
15分押しでステージに現れたメンバーは、意外にも大人数でした。まず、木の椅子に座ったアコギのクリス(ヴォーカル)、その向かって右側に2人の女性コーラス(そのうちの一人はクリスの恋人)、そしてフルート兼アルトサックス兼ブルースハープの達人、背後にベース、そして向かって左側にギターと、背後にキーボード、そしてドラムスという、総勢8名という予想だにしない大所帯でした。おお、一体が始まるのかしら。
椅子に掛けてアコギを持ったクリスが、皆に合図をして、「リサンドレのテーマ」が幕を開けます。このステージは、このシアトリカルなコンセプト・アルバムにふさわしい、いわば「演奏会形式のオペラ」なのだと、改めて気づきました。
リサンドレのテーマ
Am Em F C
Am Em F G(C?)
Am Em F C
Am Em F G
A(ピカルディーの3度)
フルートは、いぶし銀の輝きで、艶やかにリサンドレのテーマのレチタティーヴォ(序曲)を奏で、これから始まる、切ない恋の物語を暗示します。
リサンドレの物語自体は、ガールズのツアーで訪れた町の少女との、ほのかな恋物語と別離という、ありふれたテーマですが、「自分自身の心の動き」を客観的に観察した歌詞が、どこか突き放した面白い効果を生んでいると思います。
これは、「ワールドロックナウ」で渋谷氏が指摘していたように、あくまでも「楽曲のモチーフとしての失恋」であり、たとえ辛い思い出であっても、このような作品に昇華できたことは、素晴らしい経験だったのでしょう。
そして演奏ですが、これがまた神がかった素晴らしさでした。
なにより特筆すべきは、上手の有能なマルチプレイヤー氏です。一体何者ですか、あなた。フルート、アルトサックス、ブルースハープ、タンブリンと華麗に楽器を持ち替え、やや冗長になりがちな似通った楽曲に(ごめんなさい)素晴らしいアクセントとダイナミズムを与えていました。いやー、生楽器って本当にいいもんですねー。
そしてコーラス女子会も打楽器を持ち、ステージに華麗な視覚効果を添えていました。
いやー、いつぞやのサマソニのグダグダっぷりが全くもって嘘のような出来栄えです。マジで驚嘆しました。一体ガールズ脱退から何があったんですか。
少し前に、元ガールズの片割れである、チェット・Jr・ホワイト氏が、やや皮肉なインタビューに応えていたので、どうなることかと心配しましたが、さしたる問題はなかったようです。というか、今回はガールズとは全く決別したようですね。
と思ったら、日本公演前の台湾では、2度目のアンコールで、アコギでガールズの曲を披露したようです。なんだよー、台湾でばっかりサービスしてないで日本でもやってくれればよかったのにー。
http://www.setlist.fm/setlist/christopher-owens/2013/legacy-taipei-taiwan-13d83d49.html
台湾の情報によるとセットリストは以下の通りです。アンコールでは、サイモン&ガーファンクルなどのポピュラーな曲も演奏していました。台湾ではこれに続いて、ガールズも演奏したようです。

Lysandre’s Theme
Here We Go
New York City
A Broken Heart
Here We Go Again
Riviera Rock
Love is in the Ear of the Listener
Lysandre
Everywhere You Knew
Closing Theme
Part of Me (Lysandre’s Theme)
Encore:
Wild World(Cat Stevens)
Lalena(Donovan)
The Boxer(Simon & Garfunkel)
Let It Be Me(The Everly Brothers)
Don’t Think Twice, It’s All Right(Bob Dylan)

Stereogumにもロスのライブの記事がありました。
http://stereogum.com/1298872/christopher-owens-melted-toys-wilshire-ebell-theatre-los-angeles-32213/concert/
まさに珠玉の演奏を聞かせてくれたクリストファー・オウエンスのソロ公演でした。彼のさらなる活躍を心から楽しみに待ちたいと思います。
台湾では新曲もプレイしたようです。握手会もあったとか。

「リサンドレ」のアコースティック・バージョンが無料公開されています。

クリスのアルバムはこちらです。
LYSANDRE – Christopher Owens
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