summer sonic

ソニマニとサマソニに行ってきました。


今回、マンソンの9枚目のスタジオアルバム、「ザ・ペイル・エンペラー」のツアーとして、前夜祭の8月14日のソニックマニア、15日のサマソニ東京、そして16日のサマソニ大阪公演が開催されました。私はこちらの最初の2日間に参加しました。
前回の「ボーン・ヴィラン」が思うようなセールスを上げられない中、満を持して発表そた「ザ・ペイル・エンペラー」が各方面で好評を博し、マンソンも、サマソニの後に更にツアーを延長し、ライブに力を入れています。
ソニマニの会場は、最も大規模なマウンテンステージで、出演順序もパフュームに続く2番目という好条件でした。いえ、あまり遅いと客が眠っちゃうので・・・。パフュームは観客のノリが良く、大いに盛り上がって会場を沸かせました。しかし、熱気と湿気がものすごく、マンソンの体調が心配されました。
セッティングは、背景に黒いラメの暗幕を下ろし、レーザー照明を多用し、マンソンのオリジナルなギミックを復活する、いわば「マンソン入門」とでも言うべきものでした。しかし、最近の米国やフェスで使用している「聖人マンソンのステンドグラスのバナー」や、コーマ・ホワイトで使用している「血まみれの百合の花のマイクスタンド」、そしてギル・シャローンの、マンソンのロゴのついた特注のドラムセットは使われていませんでした。
セッティングの、速いハードロックのBGMから暗転し、観客の悲鳴の響く中、おなじみの不気味な轟音のSEとともに、モーツァルトのレクイエムのイントロが大音量で流されます。迷子になりそうなほどのスモークが炊かれ、マイクをブン回しているマンソンのシルエットに歓声が上がりました。
冒頭のディープ・シックスでマンソンのシャウトが冴えわたります。トゥイギーがベースを高々と掲げ、客席を睨みます。トゥイギーの漆黒のゴシック・ドレスは、クリアなエナメルのアーマーがついていました。
マンソンはいつものピカソ風な、顔に黒いラインを描いたメイクで、唾を吐き、マイクスタンドを蹴倒しながらのっしのっしと歩き回ります。恰幅もよく、仕立ての良いゴシックな吸血鬼のようなスーツがはちきれそうです。
今回の新譜は、アメリカの魂の原点であるブルース・ミュージックに影響を受けているためか、全体的にミドルテンポで、渋く歌い上げるような曲調でした。そのためか、いまいち観客の反応が薄いように思えましたが、おなじみのヒットナンバーでは、明らかに盛り上がりが違いました。
マンソンは何度も衣装を着替え、紙袋の白い粉を、袖で見ていたプロディジーのメンバーに振りかけ、帽子を投げ込み、タンバリンを叩き、自由気ままにふるまっていました。タンバリンがうっかりトゥイギーの顔を直撃し、トゥイギーがマイクスタンドを蹴倒して、ステージから去るというハプニングもありました。その後、マンソンがトゥイギーを無理やり抱きしめてゴメンナサイしていたようです。何やってんだお前ら。
以前はギターやドラムに破壊の限りを尽くしていたマンソンですが、年齢と共に丸くなったのか、もっぱら絡むのはトゥイギー一人だけになりました。確かに新譜にはトゥイギーは一切タッチしていませんが、ライブのベースラインのラインは彼が独自に作ったそうです。彼の存在こそがマンソンというバンドの「精神的な要」であると言えそうですね。
また、どこの国に行こうとも、すべてのMCを英語で通すというマンソンのスタンスですが、正直言って、なかなか日本の観客に伝わるのは難しいと思います。怒涛の速さで、スラングでしゃべり倒すマンソンに、「えっ?えっ?」となった観客が一瞬ザワつくと、その反応のなさにマンソンが更にキレるというコントのような事をやっています。しかし、なんとか初日はそれほどキレずに済みました・・・。しかし、スウィート・ドリームズなどのサビを観客とコール&レスンポンスする定番のナンバーでは、客のモゴモゴっぷりに何度もマンソンが怒鳴っていました。ああ・・・。
スウィート・ドリームズではおなじみの金属製の竹馬とスティックを持ち出し、あの身長と体重でステージをロボットのようにのし歩きます。また、先日スマパンとのツアーの最終日で、ビリーと合唱していたアンチクライスト・スーパースターでは。おなじみのアンチマークの演説台と、発火するギミックのついた聖書を取り出し、はるか上空で悶えて見せました。こういう、いわば「マンソンとしての原点」に戻った演出が、旧来のファンには嬉しく思えました。
新たに参加したギターのポール・ワイリーは、シンセのSEをできるだけ使わず、ギターのエフェクトで効果音をアレンジしていました。また、ドラマーのギル・シャローンのドラムは、トリガーを使用しているためか、冴えた、素晴らしくタイトな効果を演出していました。
マンソンのボーカル自体も、最近ではかなり良く出ていた方だと思います。レコーディングの技師に、「音声分析したら正五角形になった」と言われた、いわゆる「悪魔のビブラート声」も健在で、アルコールによる焼けのためか、錆びたようなかすれが一層の凄味を増していました。スクリーンで大写しになると、キメの荒い肌のたるみが気になりますが、そこは愛らしさでカバーしていました(おい)
ライブではイヤモニを使わない彼は、何度か入りがグダグダになる場面も見受けられましたが、このバンドでは(ステージでは)マンソンが絶対の存在なので、誰にも文句を言わせない専制君主ぶりでした。メンバーは「あら、また?」のように軽く受け流し、間違ってもNINのアイラン君のように大口を開けて動揺しないのは凄いと思います。
今回、マンソンの前にパフューム、その後にプロディジーという鉄壁のハードなラインナップで、客層が非常に良かったためか、極めてアグレッシブなライブが展開されました。確かに時間は短いのですが、濃密な内容だったと思います。
そして問題の2日目です。昨日に続き屋内最大のマウンテン・ステージですが、本日は色々と悪条件が重なりました。まず、当日のラインナップにあったメタル風なアイドルのダンスユニットのファンが、途中で大挙してアリアナに流れて離脱し、更にライブ後にステージを離れました。その後は邦楽勢が2人続き、さらにマンソン直前のバンドが、SEも流さずに神経質に執拗にサウンドチェックを続けたことで、会場内がなにやら気まずい雰囲気になりました。これはアレだ、NINの前に、延々と説教臭い演説をした邦楽バンドのパターンだ・・・。
そしてそのままマンソンへの流れでも、あまり目立った観客の入れ替わりはなく、「有名なマンソンをとりあえず見ておこうかな?」という程度のノリだったお客様も多かったように思います。まあ、フェス自体が元々そんなもんですが、昨日の暑苦しい観客を期待してステージに臨んだマンソンにとって、あまりにも予想外の展開となりました。
まず、マンソンが登場して歌い始めても、サビの合唱がほとんどありません。観客もほとんど棒立ちしていて、ぼんやりモニターを見ているか、リズムに体を揺らしている程度です。少なくとも私の周囲はそんな感じでした。まあ、確かにミドルテンポでノリが悪い曲もあるけど、もう少しなんとかならないかなあ。
マンソンもそれを敏感に感じ取ったようで、「トキオ!おまえらは今日はどうした?昨日はあんなに声が出ていたじゃないか、叫べ!歌え!」と繰り返し客席を煽っていました。いや、おそらく、その言葉すらも理解されなかったようです。次第にキレたマンソンは、マイクスタンドを蹴倒し、モニターを蹴落とし(スタッフが慌てて持ち上げる)、ギルのシンバルをマイクでブン殴り、マイクを床に叩きつけて怒り狂っていました。ああ・・・いかん・・・これは例の、10数年前の名古屋体育館の、あのキレて退場したパターンの再来じゃないかっ!私はそこで目撃していたんですよっ!
私はとにかく、人ごみに埋もれながらなんとか歌おうとしましたが、周りからあまり声は上がっていませんでした。それでもマンソンは、明日のライブの事も考えてか、それ以上キレることもなく、観客にゆっくりと語り掛けつづけました。「いいか?ランランランは歌うんだぞ?お前らこの曲知らないのか?」うん、たぶん、この人たちは知らないんだと思うよ、マンソン・・・。
そして、昨日よりも更に短く感じられたライブの最後に、マンソンが何やら袖から一団を招き入れました。「紹介しよう、ニューオリンズから来たブラスバンドだ」とマンソンに紹介された彼らは、当日出演していたマックルモア&ルイスのバックバンドの、黒人のブラスバンドだったそうです。残念ながら、PAの不調のためか、肝心のホーンセクションの音はあまり会場に響いて来ませんでしたが、さきほどまでのピリピリした空気を和らげる、素晴らしい演出だったと思います。そして、昨日と同様にステージ下に飛び降りたマンソンは、自らファンとハイタッチしながら、上機嫌でステージを後にしました。ああ、なんとか無事に終わってよかった・・・。しかし、英語のMCでの、不慣れな新規のファンとの意思の疎通という問題が依然として表面化したライブではありました。
そして私が筋肉痛で寝込んでいた今日、3日目に大阪でライブが行われました。マンソンも、連日のライブを反省してか、トレント様と同様にステージに通訳を呼ぶという奇策に売って出たようです。
今回、ステージで、ドープショウの前に、北欧の遊園地のフェスでやっていたように、トゥイギーをダシに客にブラとパンツを脱がせて投げさせる、という、極めてお下劣でお下品、かつ最高に盛り上がる演出をしました。さすが難波のお客様、そこは一発でノリで理解されました。乱舞するブラを手に、満面の笑みのマンソンが目に浮かぶようです・・・アホだ・・・。
えー、大変にお下劣なオチとはなりましたが、ザ・ペイル・エンペラーの日本公演は、こうして、なんとか無事に幕を下ろしたようです。だからね、マンソン、今度はぜひ単独公演もお願いしますね。それと、健康に気を付けて、ぜひジム通いも再開して、体を絞ってね。きっと素敵なスーツも、メイクの乗りも、より素敵になると思うの。お願いね!
サマソニのオフィシャルに、当日のライブ写真がアップされています。
http://www.summersonic.com/2015/gallery/artists/135.html
ファンの撮影による、当日のライブの映像が少し公開されています。



また、当日のライブはWOWOWによって生中継されたため、後日、映像が公開されるかもしれません。
http://www.wowow.co.jp/music/ss15/
マンソンがインスタグラムに画像をアップしています。アイスが「コンドームみたいで面白い」と気に入ったようです。

Sayanora Hiawatha

Marilyn Mansonさん(@marilynmanson)が投稿した写真 –


マンソン良かったね、これで晴れて「メタルマスター」認定してもらえたね。


トゥイギーはウォシュレットと針治療にはまったようです。どちらも東洋の神秘ですね!

Jeordie Whiteさん(@jeordie)が投稿した動画


大阪の証言:


セットリストです。

Marilyn Manson Japan tour
Deep SIx
Disposable Teens
mObschene
No Reflection
Third Day of a Seven Binge
Sweet Dreams
Angel with the Scabbed Wings
Personal Jesus
The Dope Show
Rock is Dead
Antichrist Superstar
(encore)
The Beautiful People

ソウル・レベルズとの共演の様子です。


来日公演を記念して、ザ・ペイル・エンペラーの特別限定版がリリースされます。こちらには歌詞と対訳が付属しています。
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