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マーク・アーモンドのライブに行って参りました。


会場のビルボードライブ東京は、六本木ミッドタウンの中にあり、とても高級感あふれる構造で、入場の際にいちいち黒服スタッフ@オシャレ系ポニーテール髭氏が案内する所など、大昔のディスコかなんかと間違えているとしか思えません。チケット代も極めてゴージャスですが、注文チャージのメニューを見て頭痛がしました。とりあえずビール1杯で粘る貧乏人でした。
窓の外には大都会東京の摩天楼の夜景が雄大に広がり、紳士淑女の(年齢層高めだったし)客層は、あくまで上品に談笑していて、自分が思い切り場違いな場所に来てしまった事を後悔しても後の祭りでした。皆様、リッチにアペリティフやワイン、シェフのお勧めを豪快にオーダーしています。狭い会場内には、モリッシー御大なら吐き気を催してマイクスタンドを蹴倒しそうな、肉の焦げるむっとした匂いが立ち込めていました。あと巨大なピザとか。
そのうちに上手の袖から、マーク一行がなごやかに姿を現しました。立ち居振る舞いが玉三郎ティストなのね。勧進帳の義経みたいな楚々としたマークに、弁慶みたいなニールXが好対照でした。この美丈夫(イケメンの意味)は誰かに似ていると思ったら、新薬師寺の十二神将の伐折羅大将でした。なるほど、最近はこういう方向に進化していたのか。
マークは、黒いソフトな素材のスーツに、ゆったりとしたシルキーなボヘミアン風の黒いシャツ、フユーシャピンクの玉虫色のスカーフを襟元に巻き、ダリの宝石のような、涙を流した目のジュエリーをつけていました。右手には指輪が輝き、マイクを持つ手もとても優雅でした。手前にはプロンプター(歌詞ノート)を置き、時折、赤い小さな椅子に掛けながら歌っていました。
冒頭のマンバスから会場内の一部にどよめきが走りました。そ、そう来たか。管理人は咄嗟にフィータスを思い出していました。どうせならそっちのコラボもやってくれないかなー。さすがに無理か。
狭いステージ上には、マークとニールの2名しかいないのですが、要所要所でリズムボックスやキーボードのSEを流し、ソフトセルの曲から最新アルバムまで、万遍なくファンの要望に応えていたように思います。中でも、グラムなナンバー、「アイドル」ではニールのアコギとマークの巧みな擬音で、ファンの手拍子を誘って大盛り上がりになりました。
個人的に、ベストアルバムと信じて疑わない「ファンタスティック・スター」の名曲が聴けたのは、一生の思い出になりました。「チャイルドスター」のイントロで絶叫したのは私です。モリッシーファンじゃないけど、駆け出して羽交い絞めにしたくなったのを、理性でぐっと踏みとどまりました。合唱しちゃってごめんなさい、隣近所の人。
「アイドル」や「チャイルド・スター」など、「往年のアイドルが凋落を悲しむ」という、能楽でいう「時分の花」のはかなさを憂う曲が、今の彼の年齢で歌うと、より深みを増して聞こえたように思います。まさに映画「サンセット大通り」のようですね。
マークは肌の色艶もよく、左のこめかみにやや血管が浮いていた他は、とても健康そうに見えました。数年前に生命の危機にあった人とはとても思えないほどの回復ぶりでしたが、ゆったりとしたボヘミアンシャツの下に、幅広の医療コルセットのような、やや不自然なシルエットが見えました。しかし、楽曲の歌詞の一言一言に心を込め、指先から視線まで表現を磨きぬいたその演奏は、まさに魂の叫びと呼ぶべき崇高さでした。
曲間でファンが駆け寄り、次々に花束を渡します。私も理性的に聞こうと思うのですが、どうしても冷静になれません。こんなライブは初めてです。ああ、椅子があって良かった!なかったら絶対ステージに駆け上がってたかも知れん@自分。たぶんニールに殴られるだろうけど。
セットリストが海外のフォーラムにありました。
http://joeydemento.proboards.com/index.cgi?board=general&action=display&thread=1594

Marc Almond @ Billboard Tokyo
Untitled
My Love
Tragedy
Night And Dark
Moonbathe Skin
Brilliant Creatures
Variete
Bread And Circus
Friendship
My Madness
The Idol
Bedsitter
Child Star
Kiss The Ghost
Dream Lover
Swan Song
Say Hello, Wave Goodbye
encore:
Tainted Love

マーク、どうせなら、同じ「ファンタスティック・スター」の、「ラブ・トゥー・ダイ・フォー」も聞きたかったです・・・。ライブは2部制で、私が見たのは初回だけでしたが、2部も同じセットリストだったようです。
奇跡のような1時間半が過ぎ、腑抜けのようになった私は、呆然と六本木駅まで歩きました。脳内のBGMは、なぜかゴージャスな夜景と共にエンドレスに再生された「この東京砂漠〜」でした。ああ、古き良きバブルは遠くなりにけり。この先、再び六本木に来ることも無いでしょうが、こういうろくでもない威圧的な空間を作る趣味の悪さは、ある意味マークのキッチュさにふさわしいかも知れません。
今度はフルバンドで来てくださいな。スタンディングで踊りたいので、ぜひよろしくお願いします。ティンテッドラブはバカ踊りできて嬉しかったです。
しかし、チャイルド・スターは沁みた・・・。
Fantastic Star – Marc Almond
ちなみに、若き日のお二人はこんな感じでした。
http://www.discogs.com/viewimages?release=1220687



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