live

Nine Inch Nailsのライブ映像の試写会に行って参りました。


http://www.uplink.co.jp/factory/log/003318.php
これは、2008年のLights In The Skyツアーのドキュメンタリー映像で、オフィシャルが故意にネットワークにリークさせた映像素材を、ファンが独自に編集したものです。今回は、エディターの鈴木様が、プロの映像編集者と共に、マルチアングルで編集したものが公開されました。
米国でもファンが独自に編集したものを、ネットワークに流したり、YouTubeで公開したり、また、上映会なども開かれているようですが、国内ではこれが最初の試みとなります。
当初は、ジェームズ・キャメロンの3D技術を用いて、インタースコープから資金提供を受けて、素晴らしい映像作品が仕上がる予定でしたが、元々レーベルとの関係が思わしくない上に、キャメロンのスケジュールが合わず、結果的に幻の作品に終わるかと思われました。しかし、唐突に「どうやら誰かがネットワークに流したらしい」とトレント様がオフィシャルで発表し、共有ネットワーク上に、数百ギガという、とてつもない「ギフト」が放流されました。元より、国内にはネットワーク共有に消極的なファンも多く、また、映像素材がそれぞれ単一カメラワークのみなので、せっかくDLしてもそのままでは閲覧できないかと思われました。
既に、米国内では、ETSなどを中心としたファンのネットワークが、彼ら独自に撮影したブルーレイ/DVDを配布する試みもありますが、国内ファンはなんとなく蚊帳の外状態でした。その上、今後NINとしてのツアーを封印すると発表したばかりで、ライブに飢えていた我々日本国内のファンには、まさにこの上ない「ギフト」となりました。
上映会はおなじみ渋谷のアップリンクで開催され、会場内は既にファンの熱気でむせ返るほどでした。主催の鈴木様のご挨拶と共に、今回の上映会の趣旨を説明されました。映像素材はクリエイティブ・コモンズなので、これによって利益を得てはいけないというのがなんとも歯がゆい限りですが。
既に、同素材からDLしたブートも、国内のショップで幾つか発売されてはいますが(クリエイティブ・コモンズの趣旨に反する行為ですが)、もちろん、プロの編集によるマルチアングル素材を、このような大画面で鑑賞できる機会は今までにありませんでした。
暗転し、オープニングタイトルも何も無くいきなり映像は開始しました。999,999から100,000に至る、当時としては定番のスタイルで進行したライブは、まさに光の洪水でした。
The Slipリリース直後という事もあり、そのアルバムと、その前のコンセプト・アルバム、Year Zeroからの選曲が中心でした。また、「有機的なインタラクティブ」をコンセプトとしたステージ・デザインはMoment Factory社が手がけ、その大掛かりで繊細なデザインは、まさに「光のケージ(檻)」とも呼ぶべき壮大さでした。
Moment Factoryはこちらです:
http://www.momentfactory.com/
トレント様は後に、インタビューで「自分たちはセットの一部となって、自発的なライブと言うよりも、没個性な機械的な動作になってしまっていた」と反省していますが、もちろん、白熱したライブは実に素晴らしいパフォーマンスでした。
なかでも、インストアルバムのGhostsからの曲を演奏する場面で、空を雲が流れ、湖水の水面の光がざわめく様は、映像のアリーナのファンならずとも”fuckin’ beautiful!”と叫びたくなるほどでした。ロビンのバンジョーや、トレント様のマリンバなどのサウンドも、残響まで実に素晴らしく明晰に聞こえました。元々、NINのライブのサウンドは、アリーナであっても、実に精密に計算され尽くしている事は有名です。
また、映像のインタラクティブ性という面では、ひとつタイミングがずれるだけで、大変な失敗に直結するだけに、ステージ上での緊張感はすさまじいものだったと思われます。例えば、ジョシュがスクリーンにタッチして、画面の色彩が変化するシーンや、トレント様がライトでノイズの背景を消していくシーンなど。
そして、楽曲のアレンジも、今までの「パワーで押し切る」タイプのライブと言うよりは、より繊細で、個々のメンバーがマルチ・プレイヤーとなって様々な楽器をプレイする形に変化していました。なかでも、ジャスティンとジョシュの鉄壁のリズム隊に、ロビンの「クレイジーな」ソロが縦横に弾ける様は、まさに鳥肌ものでした。彼は、名手揃いのガンズでも、いい意味で浮いていましたが、古巣のNINに戻って、まさに彼の才能が開花したと思われます、
上映会は2時間を越える内容で、ノイズと光の洪水でしたが、数人を除いて、ほとんどの参加者が席を立たずに堪能していました。また、最初こそ音量が控えめでしたが、後半に行くに従ってどんどんクリアな音になって行ったのは驚きました。
これがもしも、当初にアーティストが希望していたように、キャメロンの3D技術で撮影され、アイマックス・シアターなどで大音量で上映されていたとしたら、確実に、数人どころでなく癲癇の発作を起こしていたでしょう。キャメロンもマンソンのろくでもないPVなどを撮っている暇があったら、こちらに時間を割いても良さそうなもんですが。そこは色々と大人の事情があるのでしょうか。
同ツアーのプロモーション・ビデオはこちらです。

Nine Inch Nails – Lights In The Sky 2008 tour ad [HD] from Nine Inch Nails on Vimeo.

なかでも、この背景は実に美しかった・・・良く見ると、映像の煙がたなびいていました。
NIN
そして、今回のイベントを企画して頂いた鈴木様のブログはこちらです。今後の上映会イベントや、映像作品化などの予定については、こちらにお尋ねください。
http://hardlistening.jugem.jp/
最後になりますが、鈴木様、いつも大変にお世話になりまして、ありがとうございます。ご挨拶もせずにとっとと逃げ帰って申し訳ございませんでした。都内まで2時間強の遠方なので、終電を逃さないため必死で駆け出しておりました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
いやー眼福でした。アップになるたびロビンの結婚指輪がキラキラしてて(そこかい)
なお、米国のファンが自主的に纏めたライブ映像が入手できます。
http://thisoneisonus.org/node/34

NINの作品はこちらです:
Nine Inch NailsNine Inch Nails
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<%Amazon(B001CCHJ04|m|3|default)%>


ジョシュがWishのドラム映像をアップしています。いや、想像以上に大変なのねー。彼の後任を務めたアイランもさぞプレッシャーだったろうなあ。


マンソンのライブ映像が追加アップされています。いい感じにグダグダで楽しそうね。


Marilyn MansonMarilyn Manson


おまけ:ツアーバスで暇なGirls。
http://pitchfork.com/tv/#/episode/2100-girls/1
ガールズガールズ



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