ファッションショーに行って来ました。
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東京ガールズコレクションの翌日に代々木体育館で行われたイベント、アジア・ガールズ・エクスプロ―ションとかいう、趣旨と目的のよくわからない催しに、マンソンがゲスト出演するというので、仕方なく重い腰を上げてのこのこと行って参りました。
会場は既にウエディングドレスや特攻服など、いつものファンの方々で埋め尽くされ、明らかに私は外様な状態で、三月の寒空の下、１時間遅れの開場を寂しく待っていました。
以前には数時間遅れという記録を達成したこのバンドですが、今回は４５分押しで客電が消え、何やら映像が映されました。下着姿のモデルが颯爽とランウェイを歩きだした途端に、奈落につまづいて派手に転落していました。会場の皆様の温かい励ましに、モデルは泣き笑いをうかべて歩いていました。何やら嫌な予感がよぎりましたが、暗転した会場にレトロな映像とともに英語のアナウンスが厳かに響きわたります。
曰く、「東京ガールズコレクションとやらが開かれたそうだが、ファック！ファック！所詮は狭い日本という島国の井の中の蛙、欧米を追随するばかりではないか。これからは日本人の誇りを云々」・・・で？だから何？と思う間もなく、派手なパイロとともに人影が現れました。
・・・マンソンです。ほんっとーに今回出番はこれだけだったのね。衣装は黒づくめの光沢のある化繊のテロっとしたボディラインを隠すスーツで、腰丈の同生地のケープがついていました。確かに以前のラウドパークの時よりは少し締まったような気もしますが、相変わらずぷりんぷりんのむっちむちでした。表情はサングラスでわかりませんが、フェイスラインに影を作るメイクで細く見せる工夫をしていたのがお茶目でした。モブシーンのBGMに乗って、のっしのっしと一周してさっさと引っ込みました。
・・・それだけ？本当にそれだけなの？他に何かやらないの？ねえ！
焦りまくる私をよそに、ファンのみなさんはステージに現れたピアノの王子様に、夢中で歓声をあげていました。
最初にモデルがけつまづいたステージの奈落には、カワイのアクリル素材のグランドピアノがせり上がって、王子様がナルシスティックにとても美しく演奏なさっておいででした。
しかし、私はどうしてもボウイやNINで天才的な即興を聴かせるマイク・ガーソンのきらめくようなタッチを思い出してしまい、乱暴なタッチや音の濁り、明らかなミスタッチ、残念なニュアンスなどの点が気になって仕方ありませんでした。また、同じピアノでもガガのように、テクニックはともかく、エンターティナーに徹したパフォーマンスをする（燃やすとか奇妙な形のピアノとか）わけでもなく、どうも中途半端な印象が否めませんでした。
残念な点は他にもありました。肝心かなめのファッション・ショーの内容です。
出演するモデルはともかく、着ている衣装があまりにも既視感のあるものばかりでした。たとえば’60年代のスインギン・ロンドンや、モッズスーツ。’70年代のラブ＆ピースや日本の学生運動、山本リンダやボウイの寛斎のようなパンツスーツ。’80年代の黒づくめのＤＣブランドブームやパンクファッション。’90年代のお水っぽい派手プリントや男性のダブルスーツ。そして原宿ゴスロリやアキバオタクのファッションから、援助交際っぽいミニスカの女学生まで。
今回、どれだけの種類のブランドやデザイナーの皆様が参加されたのかは知りませんが、この統一感の無さは見事なほどでした。一体、今回のランウェイに集まった皆様のコンセプトはどうなっているのでしょうか。
私は、生演奏に合わせて、バンドメンバーの名前を絶叫するファンの皆様の中で呆然としながら、先日の悲しい出来事を思い出していました。
マックイーンがこの世を去ってしまったこと、そして、ガリアーノが事実上抹殺されてしまったこと。彼らの奇跡のようなあのショウはもう見ることができないのでしょうか。
「ローズマリーの赤ちゃん」のテーマで、悪夢の遊園地を見事に作り上げたマックイーンを思い出し、涙をこらえられなくなりました。
目の前にはいつしか、着物の生地で作った衣装をまとったモデルたちが歩いていました。とても上質な生地で、染めも確かな品なのでしょうが、’80年代のような巨大なヘアスタイルにガーターベルト、穴の開いたストッキング、前にだらんと垂らした帯は、映画の花魁のようで（最近は花嫁も花魁の衣装を着るそうですが）実に奇妙な代物でした。蜷川の舞台の衣装か、イーベイに出ている左前の日本人形を思い出しました。
そして最後にマンソンが再び皆と一緒に現れ、王子様とキス＆ハグをしてにこやかに去っていきました。今回、本当にダースベーダ―要員だったのね、アンタは・・・。
なんだかものすごく疲れました、もう寝ます・・・。こんなもんに１万円も取るなよ・・・。
