fujirock 13 day 1

フジロックフェスティバル初日に行って参りました。


今回、ナイン・インチ・ネイルズが6年ぶりに新譜を発表し、初のライブをこの苗場で行うと唐突に報道されて以来、世界中のファンの注目を集めていました。また、ライブをYouTubeとCS放送で同時に中継するという、フジロックとしては極めて珍しい試みもあり、海外のファンからの期待も高かったようですが、某レーベルとの権利問題のためか、動画は日本国内のみの公開となっていたようです。海外ファン組の嘆きたるや想像以上でした。
どうしても野外フェスのNINというと、2009年のサマソニのマリンでの豪雨と雷がトラウマとなっていましたが、今回も、次第に雲行きが怪しくなって来ました。
私は、マイブラから、ホワイトステージのモッシュピットの最後列の片隅で小さくなって待機しておりましたが、色々と面白いものが見られました。
まず期待のマイブラですが、ある意味期待通りのカオスでした。何しろ音がいけません。これは私の位置が前すぎたためではなく、純粋にミックスがアバウトだったためと思われます。一応歌ものなんだから、少しはノイズを遠慮して歌を聞かせようよ。CDもそうだったけど、そもそも人に聞かせようと思ってないでしょ。なんですかあれは。いや、当時のカルチャーとしてはあれが正しい姿なんでしょうが、もう少し小さい会場で真っ暗ですし詰めの観客で見たほうが感動は大きかったかも知れません。真昼間はかわいそうだったよな・・・晒し者みたいで。
次に出てきたバンドは、興味がないので名前を言いたくもありませんが、MCで長々とグチグチと他のバンドをディスって帰りました。モッシュピットは豪雨の中でお祭り騒ぎになったので、マイブラのお通夜状態よりは少しはマシだったのでしょうか。個人的にファン層がDMCみたいだなーと思いました。いや、待てよ・・・以前にもこの手のバンドのファンがトレント様をディスって大騒ぎになったな、確かディー・エルツテかなんか。そうか、今回トレント様は、あえて逆境に身をおくことで、自身を鼓舞しようと思ったのか?まあ実際は単にスマッシュの中の人から「こういうバンドあるんですが、どうでしょうかねー」と押し切られたんでしょうが。
そのアレなバンドの仰々しいステージ装飾を次々に剥ぎ取り、竹ぼうきを持ったスタッフが神経質にステージを掃いて回ります。うん、こういうお掃除ってリアルに見たのはマリンのガンズ以来かも知れない。「ステージにチリひとつ残すな」ということは、微細なゴミが何らかの演出の障害となるということか?期待はさらに高まります。
やがて、ステージ数台の回転式の照明が運び込まれ、厳密に距離を測って並べられました。照明の前の床には光沢のある反射板が置かれ、ライトを点けて、背後の白い布スクリーンで何やら調整していました。TOOLならここでテストパターンがデカデカと映るところですが、どうやらそうでもないようです。そしてステージ左右には、櫓のように組まれた格子状の可動コンテナに、縦横にびっしりライトが積まれていました。その他に、スクリーンの背後にも何らかの機材がありそうでしたが、依然としてステージは、楽器ひとつない、がらんとした空白のままです。一体何が始まるのか?
やがて客電が落ち、ステージに誰かが姿を現しました。・・・・・。
短パンに黒いタンクトップ姿のトレント様でした。スタッフが素早く置いた移動式のスタンドの上のキーボードを操作しながら新曲を熱唱します。
うっそ!声出てる!しかも艶と張りがある!お肌のツヤもいいし筋肉が無駄に盛り上がってる!いや、そんな事はどうでもいいけど、ステージには依然としてトレント様しかいません。やがて2曲目になると、両袖から機材の乗ったスタンドが次々に運ばれ、メンバーが一人ずつ増えていきます。
これはアレだ。最後のNINツアーのWave Goodbyeツアーの終曲で一人また一人とメンバーが去って行った、あれの逆をやっているんですね!
そして完成したステージの姿は、なんのことはない、多少殺風景なクラフトワークそのものでした。5人が一列に並び、シンセを操作しているの。一人ずつ足元のライトで照らされた大きなシルエットが背後のスクリーンに映り、まるで影絵のようでした。
影絵といえば、今回のステージのセットはきわめて「日本的」な要素が多くみられました。
あらかじめ幕で隠された仕掛けが露わになり、大きな可動式の書き割り(セット)を黒子が運ぶ、歌舞伎や文楽によくあるあの様式です。そこでは必ず「黒子」という、見えているはずなのに、存在が気にならない魔法のような仕組みがあります。今回のセットでも、常に可動式のステージセット(ライト、スタンド等)を運ぶのは黒服のスタッフで、彼らの素早い、よく訓練された動きは、ショウの進行を全く妨げないばかりか、ステージに、千変万化するイリュージョンのような楽しさをもたらしました。
背後から強い光が当たったと思うと、白い幕は切って落とされ、ステージは見事に一変します。それまでシンセドラムを叩いていたアイランはいつのまにかドラムセットに、ロビンはギターを、ジョシュアはベースを、そしてアリーはいつものように冷静にシンセをプレイします。その中心で強いオーラを放っているトレント様その人には、常に強いスポットライトが当たり続けていました。
どこから?実は、トレント様の下に常に影のように寄り添うスタッフが手持ちのライトを当てていたのでした。こ、この発想はなかったぞ。イカ釣り船じゃないんだから。
そして歌舞伎の書き割りさながらに千変万化したのは。スタッフが縦横無尽にフォーメーションを変えて並べ替える、LEDのスクリーンでした。非常に細かい点の光が、音の強さや人物の動きに合わせて、まるで生きているかのように動きます。
そう、恐らくこれはLights In The Skyツアーで使用されたのと同様な、モーメント・ファクトリー社によるライティング・デザインと思われます。すぐ前にトレント様が関わっていたHTDAのステージでも彼らのデザインが使われていました。また、LITSツアーのブート映像でおなじみのONLYのあの顔のセット(トレント様の顔がLEDスクリーンに点描に映る)もこの目で見ることができました。
やはり、これが実質的なNINの再デビューの初回ということもあり、相当に気合いとお金をかけて準備されたものと思われます。そのためか、失敗は許されない状況にあって、何度か信じられないような凡ミスも見られました(入りのタイミングとか、マイクを落としてスタッフが持ってこないとか)。しかし、全体的にはよく練られていて、ほとんど何の問題もないように思えました。
ロビンは相変わらずロビンでした。彼のよく通るあの声でコーラスが聞こえてきて、私はほとんど泣きそうになりました。お帰りなさい、ロビン!おかえりなさい、NIN!
セットリストは、新曲3曲の他には、ほとんどベスト盤的な万全の構えでした。イントロだけで狂喜乱舞する日本のファンは、メンバーの目にどう映ったことでしょうか。
我々の頭上には雷鳴がとどろき、雨はシャワーどころか滝壺のように叩き付けます。ほとんど目を開けていられないような豪雨の中、必死でコーラスを合唱するファンがそこにはいました、少なくともモッシュピットの中には。
そして、ほとんどMCもなく、一旦消えかけたステージの光は、再び点り、ロビンのギターに乗ってHURTの演奏が始まりました。
どうもありがとう、NIN。再開のために日本を選んでくれて、本当にありがとう。
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セットリストはこちらです。
http://www.ninwiki.com/2013/07/26_Naeba,_Japan#Setlist

2013/07/26 Naeba, Japan
Setlist:

  1. Copy Of A
  2. Sanctified
  3. Came Back Haunted
  4. 1,000,000
  5. March Of The Pigs
  6. Piggy
  7. Reptile
  8. Terrible Lie
  9. Closer
  10. Gave Up
  11. Help Me I Am In Hell
  12. Me, I’m Not
  13. Find My Way
  14. The Way Out Is Through
  15. Wish
  16. Survivalism
  17. The Good Soldier
  18. Only
  19. The Hand That Feeds
  20. Head Like A Hole
  21. Hurt

こちらにもあります。
http://www.setlist.fm/setlist/nine-inch-nails/2013/naeba-ski-resort-niigata-japan-23c68c8f.html
ライブのレポートと写真がアップされています。
http://fujirockexpress.net/13/?p=3695
ライブの映像もいくつかアップされています。
Came Back Haunted

Find My Way

Reptile

ONLY

HURT

Copy of A

Sanctified

ストリーミング抄録

トニーホークさんのInstagramより。前日のリハーサル時の写真です。
http://instagram.com/p/cPWV1RrHsa/
メンバーも日本を堪能したようです。
猫カフェでくつろぐアリー:
http://instagram.com/p/cNq36dqjcR/
マリクイーンとショッピングするトレント様:
http://instagram.com/p/cJTSdDFYvU/
新生NINの帰還はメディアで大きく注目されました。
http://www.rollingstone.com/music/news/nine-inch-nails-debut-new-song-find-my-way-at-fuji-rock-festival-20130726
トレント様は、ニューヨークタイムズ紙との独占インタビューで、今回のツアーのプロダクションや、プライベートな生活などについて、かなり突っ込んだ話をしています。
http://www.nytimes.com/2013/07/28/arts/music/nine-inch-nails-is-back-onstage-with-a-vengeance.html
なお、この記事によると、トレント様の長男はラザルス・エコー、次男はバルタザールという、どちらも聖書にちなんだとても良い名前であることがわかります。

He married the singer Mariqueen Maandig in October 2009, and they now have two sons, Lazarus and Balthazar; he’s taking the entire family on tour with him. (His dressing room at the arena held two playpens.)

また、同記事で今回のツアーのコンセプトの一部をトーキングヘッズの「ストップメイキングセンス」から得ていることを明かしています。

Mr. Reznor isn’t easing back into performing. Most bands play festivals with a bare-bones production, for quick setup on a shared stage. His is making a far more elaborate comeback. The show brings dizzying visual effects to an idea borrowed, Mr. Reznor freely admits, from the 1983 Talking Heads tour, filmed as “Stop Making Sense.” Mr. Reznor starts out onstage alone, and the band gradually assembles around him. From there, the visuals escalate. “We’re always pushing the envelope,” said Roy Bennett, the band’s longtime lighting and production designer. “We’ve always tried to make people think and keep them on edge and keep them wondering what’s going on.”

バンドのメンバーも今回の日本公演にはとても満足しているそうです。


来月号のクロスビートとロッキング・オンにどちらもトレント様のインタビューが掲載されるようです。楽しみですね。
http://ro69.jp/blog/rockinon/85816


NINのアルバムはこちらです。
国内盤 CD1枚組:

アルバム限定版(米国)CD2枚組:
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通常版(米国)CD1枚:
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アナログはこちら。(CD盤1枚とビニール2枚)
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シングル+アルバムiTunes予約。アーティストによる30分の解説音声つき。
Hesitation Marks (Deluxe Edition) – ナイン・インチ・ネイルズ


マンソンがコメディドラマシリーズ、、Eastbound & Downにカメオ出演するようです。


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